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肩鎖関節脱臼で手術を受けるか迷われる方へ


肩鎖関節脱臼と診断された場合に今後どのような治療をうけるのが機能回復にベストであるか非常に難しい問題です。肩鎖関節脱臼は肩関節外科医でない医師が診察した場合には脱臼していても保存療法で、つまり手術をうけなくても肩はよくなりますから手術をうけなくてもいいですと言われることが多いです。
 
我々は急性肩鎖関節脱臼に対して烏口鎖骨靭帯再建術という治療をおこない、十年以上経過した成績を報告しました。そして、第95回日本整形外科学会学術集会のシンポジウムで講演をしました。
 
我々が報告した論文(ronbun.pdf発表(koen.pdfはダウンロードして閲覧できるようにしておきました。興味のある方はご覧ください。
 
我々の論文は以下のサイトから閲覧できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30229219/
 
その結果から以下のことお話をします。
1.完治を望むなら手術をおすすめします。
2.欠点は完治まで時間がかかり理学療法がある程度の期間必要です。
3.手術をしても時々、肩鎖関節の軽度の亜脱臼がみられることがあります。
4,手術をせずに保存療法をすすめられて時間がすぎていっても痛みが続く、夜間痛などが続く場合があります。
 
以上のことは大変気になるかと思われます。そこで3の場合と4の場合にどのような経過をたどるかは不安になることですね。3,4のような事態になられた方の経験談をお伝えします。
 
烏口鎖骨靭帯再建術を施行して10年経過した方ですがこの方は手術後右肩の肩鎖関節の転位(ずれ)がみられます。そのずれは手術前ほどのずれではありません。
 

レントゲン
こちらは手術後10年経過した方のレントゲンです。

 
この方はリハビリを頑張ってこられ日常生活には支障の訴えはありません。その方との診察シーンを以下にお示しします。
 

 
そして、他院で肩鎖関節脱臼と診断されるも1か月以上たっても肩の痛みがつづき、怪我をされてから3か月以上たって当院に来院された方です。その方の診察時のお話を以下にお示しします。
 

 
肩鎖関節脱臼ではたとえ手術をうけなくても比較的可動域は回復いたします。屈強な筋肉の持ち主の方は疼痛をあまり訴えがないこともあります。こういう方がおられるから手術をうけなくてもいいとおっしゃられる先生がいらっしゃいます。
 
そこでまとめとして以下のことをお伝えします。
 
1.肩鎖関節脱臼では時間や手間を惜しまなくて将来のためにも機能障害がなく、完治を望む場合には手術をおすすめします。とくに肩鎖関節のずれがひどい方です。このひどいというのは鏡で脱臼した方が明らかに突出している程度と考えてください。
 
2.ただし、手術を選択しなくて症状が残った場合に、だいぶん時間がたってからでも手術で機能回復を得ることは可能です。ただその手術は自家腱をもちいた再建術http://www.shoulder-doctor.net/sick/sick_10.html)が必要になります。

手術を迷われる方へ


手術を医師にすすめられて、迷われている方のために私が外来で行っている一つの方法をお伝えします。