肩人工関節、人工関節、50肩、腱板断裂、反復性肩関節脱臼、野球肩、スポーツ障害肩、肩の痛み、肩の病気、整形外科医「森大祐(もりだいすけ)」のWebSiteです。

Q&Aシステム

HOME | Q&Aシステム | 4肩腱盤断裂

4.肩腱盤断裂 (7)


Q1
夜寝ていると肩がすごく痛くて目が覚めます。いわゆる夜間痛に悩まされています。病院で肩腱板断裂と診断されました。手術で夜間痛は治りますか?
 
A1
手術で改善は多いに見込めます。肩腱板断裂のある方は断裂した腱が肩を下にすることや、寝返りなどで腱板がひっかかります。手術が適切におこなわれ、理学療法などで肩の動きがよくなれば、段々と痛みがとれていくことが多いです。2015年にThe American Journal of Sports Medicineという整形外科領域では権威ある雑誌の6月号でThomas Jefferson大学のAustin先生が『Sleep Disturbance Associated With Rotator Cuff Tear Correction With Arthroscopic Rotator Cuff Repair』のタイトルで、腱板断裂の手術で睡眠障害が改善されることを報告されています。ただし、ずっと睡眠薬を内服されている、あるいは術後もずっと飲んでいると、睡眠の質は高まらないとおっしゃっています。肩腱板断裂で睡眠障害があって、睡眠薬をずっと飲んでいるのは必ずしもよくないことなのかもしれません。
 


Q2
腱板断裂の手術をすすめられました。力仕事をする、52歳です。手術は本当に必要でしょうか?痛みはあるのですが、耐えられないほどではありません。しかし、力が入りにくいです。
 
A2
肩腱板断裂は若年から壮年では仕事の程度や要求度をおききして、重労働やスポーツを積極的にずっとされたい方は、手術をしたほうがいいと思いますし、手術をすすめます。
肩腱板断裂があっても、保存療法で症状は改善します。しかし、どの方向に腕を動かしても疼痛を自覚しない、筋力も回復するということが難しいからです。重労働やスポーツを積極的にずっとしたいわけではない方は、肩腱板断裂があっても症状が改善してきている場合には経過観察をおこないます。
 


Q3
70歳の女性です。肩腱板断裂と診断されましたが手術が必要と前の病院では言われました。本当に必要でしょうか?
 
A3
肩腱板断裂は比較的高齢の方ではリハビリで症状が改善することはよくあります。
リハビリで無症状になることもあります。リハビリで腱板断裂している腱がもとにもどるわけではありません。しかし、無症状か軽い肩の痛みだけになることはよくあります。したがい、絶対に手術を受けなければならないわけではありません。
 


Q4
腱板断裂と診断され、リハビリを処方されました。正直、手術をしなければならないかな、なんで腱が切れているのにリハビリなのかと思いましたが、リハビリをしているうちに調子がよくなり、手術をしなくてもいいかなと考えています。なぜ腱がきれているのによくなったのでしょうか。
 
A4
肩腱板断裂といっても断裂の仕方はさまざまです。肩甲下筋腱という腱板の一つが断裂していなくて棘上筋腱断裂だけの場合、断裂していない腱板の機能が向上し、肩甲骨の動きもよくなることが考えられます。むずかしい専門用語で説明しましたので、簡単な言葉で言いますと、周りの筋肉、腱がうまく協調するようになり、体の一部が破綻してもそれを補うだけの身体の動きがリハビリをすることでよくなったということです。しかし、あきらかなエビデンス(臨床データ)があるわけではありません。
 


Q5
腱板損傷と他院の整形外科の先生に診断されました。腱板ってなんでしょうか。なんで板という名前がつくのですか。
 
A5
下に正常の腱板の構造のイラストと、腱板断裂(腱板損傷の中でも腱が上腕骨からはがれた状態)のイラストをお示しします。
 

正常の腱板と腱板断裂

 
このイラストは右肩で、肩峰という骨をとりのぞいています。腱板とは肩甲骨からでて上腕骨につく筋肉の総称です。この筋肉が腱となり、腱が上腕骨につきます。上腕骨には4つの腱が付着しています。肩甲下筋腱、棘上筋腱、棘下筋腱、小円筋腱(シェーマにはありません)が付着しています。それぞれの腱は肩をあげたり、まわしたりする際に、それぞれ固有の働きをします。その働きがうまくいっているから、肩をぶんぶんまわしたりできるのです。そして、それぞれの腱は7㎜くらいの厚みと1センチくらいの幅はあります(個人差はあります)。棘上筋腱と棘下筋腱は少し重なります。幅のある腱が、まるで小さい板のような形をして、上腕骨にのっている様にみえます。板の形になった腱が上腕骨についている様相から腱板と呼ばれるようになりました。腱の断裂がおこると、板の中に小さな穴があいているようにみえ、腱板断裂と言われます。
 


Q6 (医師の質問)
腱板断裂の手術をして1年たっても、肩の可動域が悪かったのですが、すごくよくなりましたね。バンザイもできますし、後ろにも手が背中の真ん中まで届きますよね。どうされたのですか。すごい調子いいですよね。
 
A6 (患者さまの返答)
このコロナ感染で自粛しているじゃないですか。ずっと家にいるので。今までのリハビリの先生に教えてもらった自主訓練やストレッチをする前に筋膜リリースの動画をみて、それを実践したのですよ。1時間くらい動画をみながら筋膜リリースの訓練をしていました。そして、ゆっくり時間をかけてストレッチをしています。合計3時間くらいはしています。やっぱり、じっくり時間かけて自主訓練をするのが大事なのですね。
 


Q7
腱板断裂で腱がきれていてもリハビリをしたらよくなると聞いたのですが、どのようなリハビリをしたらいいでしょうか。
 
A7
肩の腱板断裂があってもリハビリでよくなります。リハビリでよくなった患者さんの例をおしめしします(動画1)。腱板広範囲断裂がありますが、肩甲骨周囲の筋肉を刺激する、肩甲骨の周りの筋肉を意識した肩をあげる訓練をします。最初はうつぶせで、肩甲骨を固定します。左手と右手をあわして、徐々にあげていきます。左右の腕を同じようにあげていきます。痛みがつよければ無理してあげないでください。無理をすると、余計に肩の痛みがつよくなります。その動画をお示しします(動画2)。動画はリハビリ室での撮影です。ベッドもリハビリ用でありますのでベッドを最初はあげずにおこない、次第にベッドをあげていきます。ご自宅でこのようなベッドがあることは普通ありませんので、背中の下に大きな布団をいれるなどして身体をおこして、訓練をしてください。ビーズクッションや座布団を重ねていくなどして身体をおこすのがいいかと思います。
 

動画1
 
動画2

 


Q&Aシステム


肩の関する質問&回答コーナーです。