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肩関節領域の疾患②


炎症、拘縮の複合による痛みへの対処

 

炎症、拘縮の複合による痛みへの対処
 

腱板断裂の症状と50肩の症状の違い

 
同じように肩の痛みを訴え、運動制限があります。また、夜中の肩のうずきも訴えますが、よく観察すると違いが分かります。典型的な腱板断裂の方と50肩様症状の方を症状をお示しします。
 

診察の進め方

2人の診察所見の違い

おじいさん

 
・他動運動ではある可動域以上で痛がるが、比較的可動域は、良好
・結帯動作、挙上動作が痛がる
・上肢の下降時に痛がる
・注射をしたあと痛みは軽減するが、力は入らない

おにいさん

 
・いろんな方向で痛がるが、他動運動でも可動域制限がある
・外転が困難である

老人は腱板断裂と診断

 

老人は腱板断裂と診断

 

青年の方は

 
病態的には、炎症が続くことで、腱板筋群の伸張低下に基づく拘縮であり、理学療法が治療の第一選択です。
 

拘縮と腱板断裂の違い

拘縮

 
・可動域制限が他動でみられる
・他動最終域での、抵抗感
・多方向で痛み、可動域制限

腱板断裂

 
・他動運動は比較的良好
・ある特定の肢位での痛み、ひっかかり感
・多方向であるわけではない

腱板断裂の治療:手術適応!

 
・肩峰下インピンジメント
  痛み、引っかかりがあり根治を希望の方。
・筋力低下・脱力
  腱板機能が効かないと脱力感はとりきれないことが多いです。その根治を希望
・腱板断裂に伴う拘縮が保存治療に抵抗する場合
 

腱板断裂の手術適応

 

パターン①

 
比較的小さい断裂で、引っ掛りが主な症状。
手術では
・引っかかりをとる!
・肩峰形成術をする
・腱板修復を行う
 

パターン②

 
求心位(関節至適位置)が取れない。
筋力低下・脱力感、引っかかりが症状としてとれない。
・引っかからずに、求心位がとれるように
・腱板修復(腱板機能の再建)
 

パターン③

 

拘縮を合併した腱板断裂

-筋力低下・脱力感、引っかかりが症状としてとれない。
 

1.外傷後の大きな断裂に合併

瘢痕形成がひどく、腱板が肩峰や滑液包と癒着していことが多いです。


2.不全断裂のインピンジメントから進展

 
滑液包断裂は肩峰とひっかかかりが続くと滑液包炎が強くなることがあり、経過が長いと拘縮になることがあります。
 
・比較的小さい断裂で引っかかるもの
- 滑液包面不全断裂 or 完全断裂
 
・大き目の断裂で求心位が取れない
- 脱力 or 肩峰下インピンジメント
 
・中等度の拘縮を合併したもの
- 腱板完全断裂に合併
- 外傷性の腱板大断裂に合併
 

断裂していない腱板を関節鏡で滑液包側からみると

 

断裂していない腱板を関節鏡で滑液包側からみると

 

断裂した腱板を関節鏡でみると

 

断裂した腱板を関節鏡でみると

 

関節鏡視手術

 

関節鏡視手術

 

診察の流れ


問診→理学所見(肩を動かしての痛みなど症状出現の程度などの評価)→炎症への対処→理学療法を処方→MRIなどの検査→手術。